近年わが国は、世界の中の日本としての地歩を次第に確立し、わが国の言動が世界民族に与える影響は、誠に大きくなった。わが国は、資源に乏しく輸出によって経済大国への道を切り拓いて来たのであるが、それは国民の勤勉と忍耐力と根性などの、鍛えられた底力に負うものがあると考えられる。
わが国は、人的資源こそ最大の力である。今日までは、明治、大正、昭和一桁生まれの国民の努力によって成果を挙げ、世界中の注目を浴びる経済発展を成し遂げたのであるが、今日のわが国の青少年は、体格こそ立派になったものの体質も体力も決して優れているとは言えないし、精神的にも劣る現状にある。このような戦後生まれの戦争を知らない日本人、しかも、非常に恵まれた文化生活に甘えて育った若者が、果たしてこの厳しい混迷の国際情勢の中で、世界の中の日本人としての役目を果たし得るかどうか、疑問を禁じ得ないのである。
子供は、体も頭も心もバランスよく育て鍛えられねばならないし、かつ育つ年代でもあると思われるが、今日の教育は、家庭も学校も文武兼備ではなく、その要請にこたえていない。これは敗戦によって受けた大人の自信喪失による点もあるが、適切な指導者が得られないためではないか、と考えられる。
兵庫県におかれては、昭和57年度を健康元年と宣言せられ、諸般の施策を進めておられるので、県行政と連繋を密にし、御指導を頂き、知徳体三位一体の健康(ダイナミックヘルス)作りに役立つ事業を漸次推進いたしたい。その第一歩として、体育・スポーツの振興を図るための指導者の養成に力を注ぎ、県民の健康の維持及び増進に役立てたい。
以上の目的を達するため、会社の利益の一部を寄附して事業の推進に貢献するため、財団法人を設立せんとするものである。